セイレーンは語る（３）

１．発端（続き）　

最初のテープの後、ブライアンは僕ならもっとうまくできるはずだと言って、もう１本送るように言ってきた。2004年２月、ジェイクと僕は初めての撮影のためにフロリダへ飛んだが、ブライアンはその直前になって初めて、身分証を確認したいと言った。ジェイクが僕のワシントン州の運転免許証とアイダホ州の出生証明書をスキャンしてフォトショップで加工し、電子メールに添付してブライアンに送った。


『Every Poolboy's Dream』は2004年２月上旬にフロリダ州フォート・ローダーデールで撮影された。『Every Poolboy's Dream』と『Casting Couch 4』の僕のシーンは全部、このとき撮影したものだ。スチル写真も同時に撮られた。その週末、撮影が終わると、ブライアンが出演者を集めて身分証をチェックし、契約書と同意書にサインさせた。後になって、これが彼のいつものやり方だと知った。撮影が先、質問は後だ。僕はビクッとした — 提示できるものがない。ほかのモデルがそれぞれ身分証を提示している間、ブライアンはさっと僕を振り向いて言った — 君のはメールで受け取ったから心配しなくていい、と。身分証の実物を見せろとは一度も言われなかった。撮影後、僕の願いはただ一つ、“静かに消えてしまいたい”だった。でもブライアンの思惑は違っていた。

（続く）

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